卵の栄養

タンパク質を多く含む食品と聞いて、肉、魚、卵が思い浮かぶと思います。その中でも今回は「卵」にフォーカスしてご紹介していきます。

スーパーやコンビニで卵を購入する際、Sサイズ、Ⅿサイズ、Ⅼサイズと大きさで区分されているのを見たことがあると思います。具体的にどれだけの栄養が含まれているのでしょうか。以下がサイズごとの重さ、タンパク質、エネルギー(カロリー)の比較になります。

Sサイズ
重さ(46g以上52g未満) タンパク質(5.2g) エネルギー(61kcal)

Ⅿサイズ
重さ(58g以上64g未満) タンパク質(6.3g) エネルギー(74kcal)

Lサイズ
重さ(64g以上70g未満) タンパク質(6.8g) エネルギー(80kcal)

店頭で見かける卵のサイズはMサイズかLサイズがほとんどかと思われます。サイズが大きくなるにつれて、タンパク質の含有量が増え、それに伴いエネルギー(カロリー)も増えていますね。
卵のサイズは重さによって決まっています。サイズごとに基準が設けられており、それに従ってスーパーやコンビニの店頭で販売されているのです。

「アミノ酸スコア」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「アミノ酸スコア」とは、タンパク質として、体内で合成することができない必須アミノ酸をどれだけバランスよく含んでいるかを点数化したものになります。卵は、このアミノ酸スコアが100点であり、必須アミノ酸をバランスよく含んでいる優秀なタンパク源なのです。アミノ酸スコア100点の食品を他に挙げると、牛乳、牛肉や鶏肉などの肉類、あじやいわしなどの魚と他にも多く挙げられます。しかし、卵の生体利用率に注目すると、タンパク質を多く含む食品の中で、卵がダントツの90~94%なのです。生体利用率とは、体内でその食品が含む栄養素がどれだけ有効に利用されるかを示した数値になります。調理方法によって、卵の生体利用率は変化しますが、それを差し置いても卵は非常に優秀な食品であるといえます。

卵と聞いて、コレステロールが高い食品だと認識されている方が多いと思います。卵のコレステロール値は、1個あたり210mg含まれており、他にコレステロールを多く含むイクラや魚の肝、レバーなどと比較してもダントツでコレステロールが高い食品です。しかし、結論から言えば、コレステロールについては必要以上に気にする必要はないでしょう。2015年2月にアメリカの農務省から国民向けに発表されたレポートの中で、食事から摂取されるコレステロールと血中コレステロールの数値に明らかな相関を示すエビデンスがないことから、それまで推奨されていたコレステロールの摂取量の制限を撤廃すると記載されたのです。コレステロールについて、悪いイメージを持たれている方が多いと思いますが、コレステロールには、細胞膜の形成、ビタミンDの前駆体、タイトジャンクションの形成、ステロイドホルモンの材料、胆汁液の原料の役割があります。また、体内のコレステロールの80%が脂肪などから合成され、食品など身体の外から摂取されるコレステロールは20%と言われています。この身体の外から摂取される20%は、コレステロールを多く含む食品を摂取しても、コレステロールの血中濃度は変化するという科学的根拠は現時点では報告されていないのです。よって、卵を多く食べることによってコレステロールの摂りすぎになるということはあまり気にしなくてもいいと考えられます。

先程の「卵のアミノ酸スコアと生体利用率」で調理方法によって卵の生体利用率が変化すると言いました。その点について深堀りしていきます。
生体利用率が90~94%と先程ご紹介しましたが、実は加熱した場合と加熱していない場合で大きく生体利用率が異なってきます。加熱した場合は生体利用率が91%ですが、生卵の状態で食べた場合は、51%と大きく減少してしまうのです。卵自体のタンパク質含有量は変化しませんが、どれがけ有効に体内で利用できるかは異なってくるのです。これは、卵白に含まれるアビジンというタンパク質がビオチン(ビタミンB群の一種)との結合性が高いため、加熱していないと分解できないことが理由になります。加熱することでアビジンとビオチンを分解することで、ビオチンの生体利用率が上がり、最終的に卵の生体利用率が上がるということになります。また、卵黄については、完全に熱が通った状態ではなく、半熟の方が吸収が早いのです。具体的には、完全に熱を通した場合は3時間、半熟の場合、1時間~2時間で吸収されると報告されています。この加熱による卵白と卵黄の生体利用率に従って調理するのであれば、卵黄が半熟、卵白が完全に熱が通った状態の目玉焼きが最も効率良く卵からの栄養を摂取できると考えられます。



以上が、卵の栄養についてでした。簡単に整理すると、

・卵には必須アミノ酸がバランスよく含まれ、アミノ酸スコアが100点
・コレステロールには細胞膜の形成などの働きがあり、摂取量は必要以上に気にしなくていい
・卵の生体利用率は90~94%(加熱した場合)
・おすすめの調理方法は目玉焼き(卵黄は半熟、卵白は完全に熱を通す)

これらのことを踏まえて、卵を毎日の食生活に取り入れることで、日頃の栄養管理に努めていきたいですね。